変わるお墓-永代供養墓、散骨、樹木葬

変わるお墓-永代供養墓、散骨、樹木葬

「お墓」と言えば「○○家」と刻まれた和型の三段墓をイメージすることが多いかと思いますが、その「墓」の世界が急速に変化してきています。

跡継ぎがいなくなると無縁墳墓に

一般的なお墓には家名が墓石に彫られています。これは一般的に「家墓(イエハカ)」と言われるものです。
この家墓、跡継ぎがいるかぎり代々続いていきますが、跡継ぎがいなくなったらどうなるのでしょうか?  
跡継ぎのいなくなった墓は「無縁墳墓」となり、一定の手続きを経て墓地管理者の手で処分され、その土地は別の人の墓として再利用されます。

跡継ぎ不要の永代供養墓

すると現在増加中の単身者の人、子のない人はどうするのでしょうか?  

80年代の後期にそうしたことを背景に誕生したのが「永代供養墓(えいたいくようぼ)」です。これはつまり跡継ぎを必要としないお墓です。子孫が代々お墓を守るのではなく、お寺が続くかぎりお寺が面倒をみますよ、という墓です。但し、これまでの墓が一戸建てだったのに対し、このお墓は共同墓の形態をとることがほとんどです。

この永代供養墓はいま全国で600以上あります。寺院だけではなく地方自治体も積極的にこの形態のお墓に力を入れています。公営では「合葬(がっそう)式墓地」「合葬墓 (がっそうぼ)」と言います。
 
永代供養墓(合葬式墓地)ができたおかげで、単身者、子のない人がお墓に入れるようになっただけではありません。子に死後の世話をかけたくない人もいて人気を集めています。

海や山に砕いた遺骨を撒く散骨(自然葬)

自然葬イメージ90年代に入ると「お墓そのものが不要」という考えが出てきました。  
火葬した遺骨を細かく砕き、これを海や山に撒き、大自然に還そうという葬法です。
 
米国等では古くから散骨(スキャタリング)は行われていました。しかし日本では、遺骨を墓地や納骨堂以外に葬ることは、刑法「遺骨遺棄罪」に該当するのではないかと危惧されてきました。(もっとも散骨は万葉集にも記述があることから古代・中世にも行われていたようです。しかし近世以降には見られません。)
 
1991年に市民団体「葬送の自由をすすめる会」が相模湾で近代以降では最初の散骨を「自然葬」と名づけて行い、大きな話題を集めました。
 
法律論議はいまではほぼ決着しています。
つまり、遺骨遺棄を目的にするのではなく、あくまで「葬送を目的として行い、相当の節度をもって行われるならば違法ではない」という解釈が一定の社会的合意を得ています。
 
では「相当の節度」の内容ですが、一つは細かく砕くことです。一般に2ミリ以下とされています。つまり、遺骨の原形が残らない形で、というのが一つの条件です。  
もう一つの条件は「他人が嫌がらない場所」で行うことです。生活用水として用いている川、海でも海水浴場や養殖場の近くは避けられるべきでしょう。住宅地も避けたほうがいいでしょう。  

ただ問題は法律論議以外に「遺族の気持ち」の問題があります。いわゆる「お墓参り」という死者を記念する場所をもたないことです。このため遺骨全部を撒くのではなく、一部を残してお墓に納めたり、一部を家の仏壇に置く、という選択肢もあります。 遺骨をペンダントなどに加工したりしていつも手元に置く「手元供養」も人気です。

自然と墓の共生を目指す樹木葬

墓が問題になったのは、跡継ぎの問題だけではありません。
高度経済成長期以降、大都市に人口移動が激しく集中しました。それにつれて大都市に移住した人々が核家族単位で墓を求めるようになりました。その結果、大都市周辺の森林が墓地として造成され、自然破壊を引き起こしたという問題があります。そうした問題意識が「自然葬」の発想に結びつきました。

それなら墓を造ることが自然を守ることになる道はないのか、と考えて樹木葬は誕生しました。
樹木葬は山林を墓地として許可を得るのですが、その後が違います。 その墓には墓石がないのです。骨壷も使用しません。土を70センチ以上深く掘り、遺骨を埋め、土を埋め戻し、墓石の代わりに花木を植えるのです。そして墓地を購入したお金を基金にしてその山林の自然を守ろうとするものです。
 
樹木葬は99年に岩手県一関市に誕生、山口県、千葉県にもその動きは伝わりました。東京でも墓地の一角に桜の木を植え、その周辺に遺骨を埋める桜葬が誕生して人気を集めています。  
桜葬のように墓地の一角を樹木葬区域と定め、大きな木の周辺に穴を掘り遺骨を埋める方式もあり、都会にあることで、都会で樹木葬を望む人に人気です。  

お墓というのは一見古いものの代名詞のようですが、さまざまな生き方、考え方を反映した時代の最先端にいまあるのです。

<引用元> 表現文化社  碑文谷 創 http://www.sogi.co.jp/